『かーちゃんは田舎に移住することに決めたからね!ベイビー!』と有無を言わせず移住するほど私は残念ながら破天荒でもなく、いたって普通の人間です。
全く望んでいなかった田舎への移住
母「あのさあ、こうこうこういう田舎に暮らしてみたいと思わない?」
子「ううん。全然。」
と最初はかなり消極的なアプローチからの即撃沈!考える間もなく即否定!気持ちいいくらいの即却下!
ですよねーですよねーそりゃそうですよねー。生まれ育ったのは東京でずっとその地域にいて学校にたくさん友達もいて赤ちゃんからの友達だっていて。いくら自然大好きでも移住となると話は別なのは当然。
これが転勤でやむなし。とかならなだめすかして移住を決行するしかないんだけど、そうではないからね。
しかも子供は環境が変わるのがものすごく苦手。慣れてしまえば全然大丈夫なんだけど、慣れるまでに時間もかかるしメンタルがついていかない時がある。それについてはまたの機会があれば(いつの機会かな~)。
そして移住してすぐの寂しさや孤独を分かち合える兄弟もいなければ、サポートしてくれるような父親や身内が誰もいない。いるのは人間関係を構築するのが苦手なやや難ありの母だけ。
なもんで、”渋々嫌々”ではなく”多少の不安はあるけれど行ってみたい”と子供ができるだけ前向きな気持ちで移住できることを強く希望(私が)。
この日から少しずつ子供が田舎に移住することを選択肢の一つとして考えられるように時間をかけてせっせとアピールし続けました。
推しメンはこの人
子供へのアプローチとしては、『東京暮らしが限界になった』ではなくて『東京も好きなんだけど田舎での暮らしもよさそうよ』という作戦で。
東京は子供にとっては生まれ育った大事な場所。東京VS田舎ではなくて、東京≦田舎ということを心掛けました。
自然大好きっ子なのでそれに特化したような情報を小出しに。『こんなことできるよ~』『あんなことできるよ~』とあくまでもさりげなくナチュラルに田舎の良さをアピール。
まあ、『虫めっちゃおるで!虫だらけやで!取り放題やで!』っていうのが主だったけど。移住の最終兵器が虫。推しメンが虫。虫もこんなシチュエーションでこんなにも重宝されるとは思ってもみなかったであろう。
こんなケースがゴロゴロ。中にいるのは何だろう。カブトムシ?クワガタ?知らんけど。
母が家にいるという日常
もう一つ大きかったのは、田舎に移住すると私といる時間が増えるということ。つまり1人で留守番することが減るということ。
東京にいた頃は、私が仕事終わりに学童まで子供をお迎えに。定時上がりでも学童の終了時間にギリギリ。
仕事の都合でどうしてもあとちょっとのとこで間に合わないってときは1人で帰らせて(1人帰りの子も結構いたけど子供の足で15分の道のり)留守番させることもよくあって。
でも冬は真っ暗な家の中に1人で入って電気をつけるのが怖くて、寒いのに10分くらい外で待ってたりして。
なぜかというと、真っ暗だと知らないおじさんがいる気がするらしい…電気つけて立ってたらって妄想しちゃうらしい…そんなん私も怖いわ…
事前に分かっているときはファミサポに頼んだりもしたけれど、当日だと無理。だからといって1か月お願いすると2万円ぐらいになるからそれも厳しい。
長期休みは学童が8時半からで私の仕事も8時半だから私のほうが家を出るのが早い。となると、子供は1人で留守番後に家の鍵をかけて学童に行くという毎日。
全ては経験、しょうがない、と言ってしまえばそれまでで。私もそれは子供に頑張ってもらうしかないと思ってたわけで。むしろそうやって自立していくとまで思ってたこともあって。
もちろん平気でこなせる子もいる。でも、あの子ができてるんだから、やってる子もいるんだから、だからあなたもできるよね、っていうのはやっぱり違くて。ほんとにそれはその子によりけりで。
うちの子供はお昼間に私がちょっと買い物とかPTAの用事とかで1~2時間くらい留守番してるっていうのは全然平気でした。『え?もう帰ってきたの?』って言うくらい。
でも、夜1人で家に帰ってきての留守番とか朝1人で留守番してから家を出るっていうのはかなり心理的負担が大きかったようで私もどうすりゃいいのかとかなり悩みました。
なもんで、田舎へ移住したら学校から帰ってきたときに私は必ず家にいるよ~朝だっていつもいるよ~ウザイくらいいるよ~というのはそんな子供にとってはものすごく重要なことだったのです。
憧れだった車生活
子供は車のある生活に妙に憧れてたんですよね。たまにお友達の車に乗せてもらったりするとすごい楽しかったようで。
東京にいる限り私は免許を取るつもりもなかったし、車生活なんて夢のまた夢。それが田舎に移住すれば夢だったはずの車生活が現実になるのです。
そんなわけで、車も移住を前向きにしてくれるツールとしてかなりいい仕事をしてくれましたね。
私の夢を聞かれてもいないのに勝手に語る
私が田舎でやりたいことも子供にちょいちょいプレゼン。子供に夢を語るってやつですね。修行して将来はこんなことしたい~とか、家でお菓子とかパンとかも作りたい~とか。
子供がちゃんと聞いてたかどうかは定かじゃないけど。一番役に立ってないツールかも。
最後に背中を押したのは小学校
そんなこんなで半年くらいたったころには、『田舎に住むのもいいかも』とすっかり田舎ライフ寄りに。やった!
そうなりゃ善は急げ~私の希望と子供の希望をすり合わせて絞り込んだ候補地に子供と2人で実際に行ってみたり。平日に小学校の見学もさせてもらったり(東京の学校はお休み)。もちろん事前に自治体に電話してアポとってからですよ。
最終的には子供が『この学校に行きたい!』という場所と私が『ここに住みたい!』という場所がガッチリと合ってこの地に決定。
子供が今の小学校に巡り合えたのは本当にラッキーでした。公立だけどすごく個性があるっていうか特徴的で子供がすごくそれを気に入ったんですよね。
HPである程度情報収集はしていたけれど、実際に見学したことで一気に子供の『移住したい』という気持ちが固まったようです。百聞は一見に如かずとはまさにこのこと。
実際は移住してみないと分からない
田舎への移住はもちろんいいことばかりではなく、大変な面もあることは伝えていました。期待が過度すぎてもね。いい塩梅にしとかないとね。
私も具体的なマイナス面は分からなかったから『その時は協力しあおうね!』ということと『とりあえず行ってみてどうしても無理だったらまたその時考えよう!』と、移住が決死の覚悟ではなくそこそこ軽いノリであることを匂わしときました。
そうじゃないとほんとにダメだったとき『でも我慢しなきゃいけない』って子供が潰れると本末転倒なもんで。逃げ道はぼんやりにでも作っておくことにしました。
まとめ
虫と車と小学校。うちはこれで移住がまとまりました。というのはまあ冗談ですが、でもそのスリーワードが子供の移住への抵抗を減らして、移住を前向きにとらえさせることができたのは事実です。私の夢はたぶんそんなに役に立ってない…